山猫島

we didn't mean to go to sea.

週末にはお茶会を

いかれていた。どう考えてもいかれていたとしか言い得ない。 そもそも金曜までに自分を追い詰めすぎたことが間違えていたのかもしれないが。結局土日は使い物にならず、眠りねずみか三月ウサギか。
まだ正気のあった始まりは、たんすをあけた所までか。5月だと言うのに半襟の付け替えや繕いを全く忘れていた単衣の襦袢を発見してしまい、あえなく夏デビュゥ断念。すっかり着物ダンスから遠のいていたのでどこに何があるか、とんと見当がつかなくなっていた。 着物の点検で時間を喰い、あわてて246を走った。半袖。少し冷たさが残るもゆるんだ空気が程よい。休日の午前は客などほとんどいないのでカウンタに広げて自分の仕事。落ち着いていたのはここらまで、この後仕事も雑事もせで終わった週末。何に嘆けばよいのやら。
このときだったか先週だったか。突然若い男女に挨拶され、当惑困惑。男性は森林の実習でご一緒したらしき。物覚えの悪い人間であることはつらい。高校まではたいした弊害など感じなかった。学校にもあまり行かないような人間には挨拶するべき知り合いなどほとんどできず、何時も下を向いていたから顔など合わせることも無かった。大学からである。ここまで自分の個体識別認識能力の低さが問題となってきたのは。特に問題なのは実習仲間である。実習好き人間である私は、実習のときのテンションの高さは大抵高い。そのためか周囲に与える印象もそれに比して強いようである。また異様にフレンドリーにもなるため、実習中には周りに声をかけて友好的雰囲気を盛り上げてしまう。ここで問題となるのが、相対的に薄い子だ。キャンパスにあれば群れに溶け込みつつそれ相応のアクを主張している。が、見分けがつかない。もともと個体間の外面的差異を認識するのがひどく苦手な身であれば、内面の感触に頼るしかない。しかしたいていマイナな実習には2人ほど、私の肌に合うクセもアクも強烈な子がいる。たいそうな高頻度だ。せっせと記録に励む。故、もともと乏しい記憶容量は霞か露か。しかも、実習はそれ一度きりと言うことが多い。かすかに記憶の残滓が残っていても定着せずに消えることが多い。と言うわけで、実習があるたびに、私の対外危険度はましていくのだ。いかにせむ。