山猫島

we didn't mean to go to sea.

えさ

よく日のあたる場所のあるせいか、家の白梅がすでに盛り。祖父が一枝切り取り、金魚のいるはずのプラスチック製の池に放り込んであった。金魚はこの前生存が確認されている。何時の金魚なのだろう。 プラスチック製の池は灰色で昔は石か大理石か何かを模したまだら模様をして光っていたはずだが、今はただくすんで冬の庭に馴染んでいる。 小さかったころ、夏の祭りでは必ず金魚をすくっていた。私はとても下手で、取れたためしが無かった。 水の抵抗を極力受けないようにすれば上手くいくと悟ったころには祭りに行かなくなっていた。 そうして掬えなかった金魚を、夜店のおじさんは2匹くらいビニールにいれて渡してくれた。 夜、庭の池に放すと金魚はすぐに見えなくなった。次の朝、金魚は大抵水面近くでじっとしていた。 兄が私が妹が。そうしてあの狭い池の中には いつもいつも 赤い魚が すくえなかった金魚がいるのだ。